生活習慣病管理料は、脂質異常症・高血圧症・糖尿病を主病とする外来患者に、療養計画書で説明して同意を得たうえで、生活習慣の総合的な治療管理を行った場合に月1回算定する管理料です。令和8年度改定後の点数は、(Ⅰ)が脂質異常症610点・高血圧症660点・糖尿病760点、(Ⅱ)が主病を問わず333点です(令和8年厚生労働省告示第69号)。

診療所が押さえるべき点は3つです。1つ目は、(Ⅰ)は検査を包括し、(Ⅱ)は検査を別に算定するという違いで、患者ごとに選ぶ必要があること。2つ目は、療養計画書の交付と診療録への添付、次回受診日の決定、長期投薬の掲示といった運用の要件が、個別指導でも見られる項目であること。3つ目は、令和8年度改定で充実管理加算が3段階になり、眼科・歯科との連携の加算が付いたことです。

この記事では、告示、留意事項通知(保医発0305第6号)、特掲診療料の施設基準の通知(保医発0305第8号)、疑義解釈資料にもとづいて、要件、選び方、院内の運用の手順を整理します。


1. 算定の基本の要件

(Ⅰ)と(Ⅱ)に共通する要件は次のとおりです。

  • 対象の医療機関: 許可病床数200床未満の病院または診療所
  • 対象の患者: 脂質異常症・高血圧症・糖尿病のいずれかを主病とする、入院中でない患者
  • 算定の条件: 患者の同意を得て治療計画を立て、それにもとづいて生活習慣に関する総合的な治療管理を行うこと
  • 回数: 月1回まで
  • 算定できない月: 初診料を算定した月
  • 算定できない組み合わせ: 糖尿病を主病とする患者で、厚生労働大臣が定める薬剤を使い、在宅自己注射指導管理料を算定しているとき

治療管理の中身は、栄養・運動・休養・喫煙・家庭での体重や血圧の測定・飲酒・服薬などの生活習慣の問題点を扱うことと、留意事項通知に書かれています。歯科医師・薬剤師・看護職員・管理栄養士などの多職種と連携して行うことが望ましいとされています。

施設基準は、特掲診療料の施設基準の通知の第6の9にあり、次の3つです。

  1. 生活習慣に関する総合的な治療管理ができる体制があること
  2. 患者の状態に応じて28日以上の長期投薬またはリフィル処方箋の交付ができることを、院内の見やすい場所に掲示すること
  3. 特定健診や健康診断で受診が必要と判定された人の診療を行うなど、保険者・都道府県・市町村の生活習慣病の早期発見・重症化予防の取り組みと連携すること

本体(注1)の施設基準は、満たしていればよく、地方厚生局への届出は不要です。一方、後で扱う充実管理加算は届出が必要です。


2. (Ⅰ)と(Ⅱ)の違いと選び方

項目生活習慣病管理料(Ⅰ)生活習慣病管理料(Ⅱ)
点数脂質異常症610点・高血圧症660点・糖尿病760点333点(主病を問わない)
包括されるもの外来管理加算、医学管理等(一部を除く)、検査、注射、病理診断外来管理加算、医学管理料等(除外の範囲が広い)
検査点数に含まれ、別に算定できない別に算定できる
血液検査の頻度原則として少なくとも6か月に1回以上留意事項に同じ定めはない
情報通信機器を用いた場合規定なし290点(情報通信機器を用いた診療の届出が必要)
切り替えの制限―(Ⅰ)を算定した月から6か月以内は算定できない

包括の範囲の違い

(Ⅰ)は、外来管理加算、医学管理等(糖尿病合併症管理料、がん性疼痛緩和指導管理料、外来緩和ケア管理料、糖尿病透析予防指導管理料、慢性腎臓病透析予防指導管理料を除く)、検査、注射、病理診断の費用が点数に含まれます。さらに、(Ⅰ)を算定した月は、算定日とは別の日に生活習慣病のために診療した場合でも、医学管理等・検査・注射・病理診断は算定できません。

(Ⅱ)は、包括されるのが外来管理加算と医学管理料等に限られ、しかも特定薬剤治療管理料、外来栄養食事指導料、診療情報提供料(Ⅰ)、薬剤情報提供料など、除外される項目が多く定められています。検査は別に算定できます。

選び方の目安

選び方は、その患者に毎月どれだけ検査を行うかでほぼ決まります。

  • 検査の多い月が続く患者(治療の調整中、合併症の評価が続くなど)は、検査を別に算定できる(Ⅱ)が合うことが多い
  • 状態が安定し、検査が数か月に1回の患者は、点数の高い(Ⅰ)が合うことが多い

ただし、告示の注7で、(Ⅰ)を算定した月から起算して6か月以内は(Ⅱ)を算定できません。(Ⅰ)から(Ⅱ)へ切り替える時期は、6か月の制限を踏まえて決めます。同じ医療機関で、生活習慣病管理料を算定する患者と算定しない患者が混在してもかまわないことも、留意事項通知に明記されています。

(Ⅰ)の血液検査の要件について、疑義解釈資料(その1)問34は、特定健診その他の健康診断で受けた血液検査の結果を参照できる場合も、他の医療機関の結果を参照できる場合に含まれるとしています。その場合は、結果を診療録に記録します。


3. 療養計画書と日々の運用の要件

療養計画書

  • 算定を始めるときは、療養計画書(別紙様式9またはこれに準じた様式)で丁寧に説明し、患者の同意を得る。交付した写しは診療録に添付する
  • 療養計画書には、その患者の治療管理に必要な項目だけを書けばよい
  • 継続して算定する月は交付が原則。ただし内容に変更がなければ毎月でなくてよく、患者や家族の求めがあれば交付し、おおむね4か月に1回以上は交付する
  • 血液検査の結果を療養計画書と別に渡している場合、または患者の求めで電子カルテ情報共有サービスで共有している場合は、その旨を診療録に書けば、療養計画書の血液検査の欄を省略できる
  • 患者の求めに応じて、電子カルテ情報共有サービスの患者サマリーに療養計画書の記載事項を入力し、その記録と同意を診療録に残した場合は、療養計画書を作成・交付したものとみなされる。この場合も、説明と同意は必要

次回の受診日と投薬

  • 予約診療をしている医療機関は、患者と相談して次回受診日を予約する。予約診療をしていない医療機関は、患者と相談して次回受診日を決める
  • 疑義解釈資料(その1)問33は、患者の都合で日付が決まらない場合でも、次回の受診が必要な時期について十分に指導するよう求めている
  • 28日以上の長期投薬またはリフィル処方箋に対応できる旨を掲示し、患者から求められたら状態を踏まえて対応する

予約の運用をどう組むかは、予約システムの選び方も参考になります。

連携と紹介

  • 糖尿病の患者には、状態に応じて年1回程度、眼科の診察を受けるよう指導し、歯周病の診断と治療のために歯科の受診を促す
  • 保険者から特定保健指導のための情報提供を求められたら、患者の同意の有無を確かめ、同意があれば協力する
  • 関連学会の紹介基準や地域の糖尿病性腎症重症化予防の取り組みを踏まえ、必要に応じて専門医療機関に紹介する

4. 加算の要件

加算点数主な要件
血糖自己測定指導加算年1回 500点2型糖尿病でインスリン製剤を使っていない中等度以上の患者(当月または前月のHbA1cがNGSP値で8.4%以上)。月20回以上の自己測定をさせ、報告にもとづき指導
充実管理加算1・2・330点・20点・10点届出が必要。外来医療等調査にデータを提出し、実績が認められた医療機関
眼科医療機関連携強化加算患者1人につき年1回 60点糖尿病の患者について、眼科に文書を添えて情報提供し、次の診療で受診状況を確かめて診療録に記載
歯科医療機関連携強化加算患者1人につき年1回 60点糖尿病の患者について、歯科に文書を添えて情報提供し、次の診療で受診状況を確かめて診療録に記載

充実管理加算の段階

充実管理加算は、令和8年度改定で1〜3の3段階になりました。施設基準の通知によると、次のように分かれます。

  • 加算3: 外来医療等調査に参加してデータを提出する体制があること、過去5年間の診療録などが保管・管理され疾病別に検索・抽出できることなど、データ提出の要件を満たすこと
  • 加算2: 上の要件に加え、主病ごとの管理の実績値(定期的な受診の継続の割合、検査の実施や特定健診の受診の割合など)が、届出医療機関の中で上位50%であること
  • 加算1: 同じ実績値が上位20%であること(集計期間中にその主病で管理した患者が10人以上の場合に限る)

データの提出を始めるには、様式7の10を決められた期限までに出し、試行データの提出が認められたあとに様式7の11で届け出ます。通知に示されている様式7の10の期限は、令和8年11月20日、令和9年2月22日、5月20日、8月20日、11月22日、令和10年2月21日などです。

改定前に生活習慣病管理料の注4の届出をしていた医療機関には経過措置があります。旧来の注4の施設基準は、令和8年5月31日時点で算定していれば、新たな届出なしに充実管理加算3に移ります。加算1の実績値の要件にも経過措置があり、疑義解釈資料(その3)問7が対象となる医療機関の範囲を示しています。自院が当てはまるかは、通知の表と疑義解釈を開いて確かめてください。

連携の加算の算定日

眼科・歯科の連携の加算は、紹介した日ではなく、次の診療で受診状況を確かめた日に算定します。疑義解釈資料(その5)問12は、紹介の際に診療情報提供料(Ⅰ)を併せて算定でき、同じ月でもかまわないこと、眼科と歯科の両方に紹介した場合は同じ月でもそれぞれ算定できることを示しています。


5. 導入と見直しの手順

  1. 対象患者を洗い出す: 主病が3疾患のいずれかの外来患者を抽出し、主病が正しく付いているかを医師と確かめる
  2. (Ⅰ)(Ⅱ)を患者ごとに決める: 直近の検査の頻度を見て選び、(Ⅰ)から(Ⅱ)への切り替えの6か月の制限を記録する
  3. 院内掲示を確かめる: 長期投薬・リフィル処方箋に対応できる旨の掲示を、待合室の見やすい場所に出す
  4. 療養計画書の流れを決める: 初回の説明、同意、写しの診療録への添付、4か月ごとの再交付の管理を、誰がどの画面で行うか決める
  5. 次回受診日の決め方を決める: 予約するか、日付を決めて伝えるか。決まらない患者への指導の記録の残し方も決める
  6. 会計の設定を確かめる: 初診月に算定されない設定、(Ⅰ)の月に検査が出来高で出ない設定、加算の年1回の管理を、レセプトコンピュータで確かめる
  7. 充実管理加算を検討する: データ提出に対応できる体制があるかを確かめ、様式7の10の期限から逆算して準備する

改定全体の変更点は令和8年度改定で診療所が確かめることに、届出の手続きは施設基準の届出の手順にまとめています。


6. 落とし穴

  • 療養計画書の写しが診療録にない。 交付した写しの添付は留意事項で求められています。電子カルテに取り込む場合も、どの患者のどの版かが分かる形で残します。
  • (Ⅰ)の月に検査を出来高で請求してしまう。 包括されている検査が請求されると、査定の対象になります。月の途中で別日に来院した患者の検査も包括です。返戻・査定を減らす点検の表に、この項目を加えておくと防げます。
  • (Ⅰ)から(Ⅱ)へすぐ切り替える。 (Ⅰ)を算定した月から6か月以内は(Ⅱ)を算定できません。
  • 初診の月に算定してしまう。 初診料を算定した月は算定できません。新患を登録した月の設定を確かめます。
  • 連携の加算を紹介した日に算定する。 算定日は、次の診療で受診状況を確かめた日です。
  • 掲示を出したつもりで出していない。 長期投薬・リフィル処方箋の掲示は施設基準です。届出が要らない分、確かめる機会が少なくなりがちです。
  • (Ⅰ)の血液検査の頻度を管理していない。 原則6か月に1回以上です。他院や健診の結果を参照する場合は、その結果を診療録に記録します。

7. まとめ

  • 生活習慣病管理料は、200床未満の病院・診療所で、脂質異常症・高血圧症・糖尿病を主病とする外来患者に月1回算定する。本体は届出不要だが施設基準は満たす必要がある。
  • (Ⅰ)は3疾患で点数が違い検査を包括、(Ⅱ)は333点で検査を別に算定できる。(Ⅰ)の後6か月は(Ⅱ)に切り替えられない。
  • 療養計画書の説明・同意・写しの添付、おおむね4か月に1回以上の交付、次回受診日の決定、長期投薬の掲示が運用の要。
  • 充実管理加算は3段階になり、データ提出と実績値で決まる。眼科・歯科の連携の加算は受診状況を確かめた日に算定する。
  • 細部は疑義解釈資料で追加されるため、厚生労働省の改定のページで新しい号を確かめる。

参考資料