医療情報ネット(ナビイ)に載っている診療所の情報は、診療所の管理者が医療法第6条の3にもとづいて都道府県知事に報告した内容です。報告には、開設したときの新規報告、毎年の定期報告、基本情報が変わったときの随時報告の3つがあり、どれも厚生労働省のG-MIS(医療機関等情報支援システム)で行います。掲載内容が古い・間違っているときに直す場所も、医療情報ネットではなくG-MISです。

診療時間や休診日を変えたのに随時報告を忘れていると、患者が医療情報ネットで見た情報と実際の診療時間が食い違います。報告をしない、あるいは虚偽の報告をした場合は、都道府県知事が報告や是正を命ずることができると医療法に定められています。

この記事では、医療法と医療法施行規則、厚生労働省の「医療機能情報提供制度について(医療機関向けページ)」、G-MISのQ&A、都道府県の案内にもとづいて、報告の時期と手順、掲載内容の確かめ方を整理します。


1. 医療機能情報提供制度と医療情報ネットの関係

制度の目的と根拠

厚生労働省の医療機関向けページによると、医療機能情報提供制度は、住民・患者による医療機関の適切な選択を支援することを目的として、平成18年の第五次医療法改正で導入されました。病院等に医療機能に関する情報の報告を義務付け、都道府県知事が報告を受けた情報を住民・患者に分かりやすい形で提供する仕組みです。

根拠は医療法第6条の3です。第1項は、病院・診療所・助産所の管理者に対し、かかりつけ医機能その他の病院等の機能について、医療を受ける者が病院等を適切に選ぶために必要な情報として厚生労働省令で定める事項を、所在地の都道府県知事に報告すること、その事項を記載した書面を病院等で閲覧に供することを求めています。第3項により、書面の閲覧の代わりに、厚生労働省令で定める電磁的方法で提供することもできます。

全国統一の「医療情報ネット(ナビイ)」

以前は都道府県ごとに別々の情報提供システムが運用されていました。令和5年の医療法改正(令和5年法律第31号)を受けて、厚生労働省がこれらを集約した全国統一的なシステム「医療情報ネット」を構築し、令和6年4月から運用を開始しています。医療情報ネット(ナビイ)では、診療日や診療科目のほか、対応できる疾患・治療内容などから全国の医療機関を検索できます。

立場役割
診療所の管理者報告事項をG-MISで都道府県知事に報告し、院内で閲覧できるようにする
都道府県知事報告を受けて確認し、公表する。報告がない・虚偽の場合は命令を出せる
厚生労働省G-MISと医療情報ネット(ナビイ)を運用する

報告の義務を負うのは開設者ではなく管理者です。院長が管理者の場合は院長の義務になるので、事務長に作業を任せる場合でも、報告を済ませたかどうかを院長が確認できる形にしておくことが大切です。


2. 3つの報告と時期

厚生労働省の医療機関向けページにもとづいて、3つの報告を整理します。

報告時期内容
新規報告開設後、速やかに開設後に都道府県等から案内があり、G-MISで報告事項を一通り登録する
定期報告原則として毎年1月1日〜3月31日の間で都道府県が設定する期間全報告事項を見直して報告する。変更がない項目も確認が必要
随時報告基本情報に修正・変更があった時点で、速やかに基本情報の変更を報告する。基本情報以外も、可能な限り速やかに報告するよう努める

医療法施行規則第1条の2の2は、報告は都道府県知事が定める方法で、1年に1回以上、都道府県知事の定める日までに行うとしています。このため、定期報告の期間は都道府県ごとに違います。たとえば東京都の令和7年度の定期報告は、報告期限が令和8年1月5日から3月31日まで、報告基準日が令和8年1月1日でした。大阪府は令和8年1月1日から2月5日までを報告期間とし、報告基準日を毎年1月1日時点としています。自院の所在地の都道府県からの案内で期間を確かめる必要があります。

随時報告が必要な基本情報

変更があったときに速やかに報告する基本情報は、次の9つです(医療法施行規則第1条の2の3、厚生労働省の医療機関向けページ)。

  1. 病院等の名称
  2. 病院等の開設者
  3. 病院等の管理者
  4. 病院等の所在地
  5. 病院等の案内用電話番号及びファクシミリ番号
  6. 診療科目
  7. 診療日(診療科目別)
  8. 診療時間(診療科目別)
  9. 病床の種別及び届出又は許可病床数

診療所で起きやすいのは、診療時間の変更、休診日の変更、院長の交代(管理者の変更)、電話番号の変更、診療科目の追加です。医師が開設した診療所は、開設の届出(医療法第8条)をした事項に変更が生じたとき、10日以内に都道府県知事(保健所を設置する市・特別区では市長・区長)に届け出る必要があります(医療法施行令第4条第3項)。変更の届出と医療情報ネットの随時報告は別の手続きなので、変更の届出の手順に「G-MISで随時報告」を加えておくと漏れにくくなります。

随時報告だけでは定期報告は終わらない

東京都の案内では、「随時報告」ボタンからの入力では定期報告の完了にならないと明記されています。また、報告の状態が「報告中」のままでは完了と見なされず、「報告」ボタンを押して「報告済」にする必要があります。年度の途中で随時報告をしていても、定期報告の期間には改めて定期報告を行います。


3. G-MISで報告する手順

手順1:G-MISのアカウントを用意する

報告にはG-MISのアカウントが必要です。厚生労働省の医療機関向けページによると、G-MISの新規ユーザ登録申請ページから申請し、都道府県が承認したあと、通常1〜2週間を目途に厚生労働省G-MIS事務局から事前確認メールが届きます。その翌営業日以降に利用案内メールが届き、パスワードを設定します。申請が集中すると、発行までの期間が大幅に延びる可能性があるとされています。

新規ユーザ登録申請のQ&A(Ver.20251021-1)には、次のような注意があります。

場面Q&Aの内容(要旨)
新規開設で保険医療機関コードがまだない保険診療を行う計画のある機関は、保険医療機関コードが払い出されてから申請する
申請内容を誤った医療機関の側では修正できない。管轄の都道府県に問い合わせる
申請内容の控え申請完了画面からPDFでダウンロードできるが、画面を閉じた後は取得できない
インターネットでの報告が難しい対応は都道府県で異なるため、管轄の都道府県に問い合わせる

開業の直後は、保険医療機関の指定を受けて医療機関コードが決まるまでアカウントを申請できない点に注意が必要です。開業の手続き全体の流れはクリニック開業の流れで扱っています。

手順2:報告を入力する

G-MISにログインし、医療機能情報提供制度を選んで、〈新規報告〉〈定期報告〉〈随時報告〉のうち該当するボタンから入力します。埼玉県の資料(2025年2月作成)では、定期報告では以前の報告内容が表示されるので新しい情報に修正し、修正の必要がない項目も開いて登録する必要があると説明しています。

厚生労働省の「お問合せの前にご確認いただきたい事項」によると、スマートフォンやタブレットは定期報告などの報告機能に対応していません。報告は動作保証環境のパソコンのブラウザで行います。

手順3:「報告」を押して完了させる

すべての項目を入力したら、画面の「報告」を押します。押さずに閉じると「報告中」のままになり、報告したことになりません。

手順4:医療情報ネットへの反映を確かめる

埼玉県の資料では、報告を県が「確認完了」の処理をしたあと、半日程度で医療情報ネットに反映されると説明しています。反映までの流れは都道府県で異なる可能性があるので、報告から数日たったら、医療情報ネット(ナビイ)で自院を検索し、変えた項目が反映されているかを確かめます。


4. 掲載内容を確かめるチェックリスト

医療情報ネット(ナビイ)で自院を検索し、次の点を確認します。院内の表示やウェブサイト、Googleマップと食い違っていないかを同時に見るのが効率的です。

  • 名称が、看板・ウェブサイト・保険医療機関の指定と同じ正式名称になっている
  • 管理者(院長)の氏名が現在の管理者になっている
  • 所在地と電話番号・ファクシミリ番号が正しい
  • 診療科目が、実際に標榜している診療科と一致している
  • 診療日と診療時間(診療科目別)が、院内掲示やウェブサイトと一致している
  • 対応できる疾患・治療内容、提供しているサービスの項目に、やめた検査や始めた検査が反映されている
  • 定期報告の状態が「報告済」になっている

ホームページ・Googleマップとの食い違いをなくす

患者は、医療情報ネット、医院のホームページ、Googleマップのいずれかを見て来院します。診療時間を変えたときに1つだけ直し忘れると、患者はどれが正しいのか分かりません。変更を決めたときに、3つを同じ日に直す手順にしておくのが確実です。ホームページに載せる情報はクリニックのホームページに載せるべき情報、Googleマップのプロフィールの整え方はクリニックのGoogleマップの整え方で扱っています。

変更の例医療情報ネット(G-MIS)ホームページGoogleマップ
診療時間・休診日を恒常的に変える随時報告診療時間の表を更新営業時間を更新
院長が交代する随時報告(管理者)医師紹介・院長名を更新説明文などに院長名があれば更新
電話番号を変える随時報告更新更新
新しい検査・サービスを始める定期報告期間を待たず、可能な限り速やかに報告医療広告の規制の範囲で掲載必要に応じて説明文を更新

年末年始やお盆などの一時的な休診は、基本情報の「診療日」の恒常的な変更とは性質が違います。一時的な休診をどう扱うかは、所在地の都道府県の案内で確認してください。


5. 報告しない場合の扱い

医療法上の命令と処分

医療法第6条の3第8項により、都道府県知事は、病院等の管理者が報告をしない、または虚偽の報告をしたときは、期間を定めて、開設者に対し、管理者に報告をさせる、または報告の内容を是正させることを命ずることができます。

さらに、同法第29条第1項第3号は、開設者が第6条の3第8項の命令に違反したときを、都道府県知事が開設の許可を取り消し、または期間を定めて閉鎖を命ずることができる場合の1つに挙げています。報告の遅れがただちにこの処分につながるわけではありませんが、命令に従わない状態を放置すると、重い処分の対象になり得る仕組みです。

医療情報ネットに表示されない

大阪府の案内では、定期報告を完了していない医療機関は、医療情報ネットで公表されない(検索しても検索結果に表示されない)こととなるとしています。医療情報ネットで診療所を探している患者に見つけてもらえなくなるので、集患の面でも不利です。


6. 広告との関係

医療広告等ガイドライン(令和8年3月30日最終改正)は、医療法第6条の3による医療機能情報提供制度の対象となる事項は、専門外来を除いて、医療広告としても原則として広告可能な事項としています。ただし、都道府県が独自に報告を求めている事項は、医療法や広告告示で広告可能な事項として定められていない場合には広告できません。

医療情報ネットに報告した内容をホームページやチラシに書くときは、この線引きを確認してから載せます。医療広告で書けることと書けないことの全体像は医療広告ガイドラインの要点で扱っています。


7. 落とし穴

  • G-MISのアカウントを個人のメールアドレスで作る:G-MISの定期報告のお知らせやパスワードの再設定の通知は、登録したメールアドレスに届きます。担当者が辞めると通知を受け取れなくなるので、医院として管理するアドレスで登録し、ログインIDの控えを保管しておきます。
  • 「報告中」で止まっている:入力を終えても「報告」を押さないと完了しません。定期報告の期間の終わり近くに状態を確認します。
  • 随時報告で済ませたつもりになる:随時報告は定期報告の代わりになりません(東京都の案内)。
  • 院内の閲覧を忘れる:医療法第6条の3第1項は、報告事項を記載した書面を院内で閲覧に供することも求めています。電磁的方法で提供する場合も、医療法施行規則第1条の3の定める方法によります。
  • 院長交代のときに管理者の報告を忘れる:管理者の変更は基本情報の変更で、随時報告が必要です。医療法施行令第4条による変更の届出と同じ時期に行います。
  • スマートフォンで報告しようとする:報告機能はスマートフォン・タブレットに対応していません。

8. まとめ

  • 医療情報ネット(ナビイ)の掲載内容は、診療所の管理者が医療法第6条の3にもとづいて報告した内容で、令和6年4月から全国統一のシステムで公表されている
  • 報告は新規報告(開設後速やかに)、定期報告(原則毎年1月1日〜3月31日の間で都道府県が設定)、随時報告(基本情報の変更時に速やかに)の3つで、G-MISで行う
  • 名称・開設者・管理者・所在地・電話番号・診療科目・診療日・診療時間・病床の9つの基本情報が変わったら、随時報告をする
  • 掲載内容の修正はG-MISで行い、反映されたかを医療情報ネットで確かめる。ホームページとGoogleマップも同じ日に直す
  • 報告をしない・虚偽の報告をすると、都道府県知事が報告や是正を命ずることができ、命令違反は許可の取消しや閉鎖の命令の対象になり得る

報告の期間や方法、都道府県が独自に求める報告事項は都道府県ごとに異なります。手続きの前に、所在地の都道府県の案内を確認してください。


参考資料