クリニックのホームページに載せる情報は、3つの層に分けて考えると整理できます。1つ目は、患者が来院するために必要な基本情報(名称、所在地、電話番号、診療科、診療日と診療時間、予約の有無など)です。2つ目は、保険診療のルールでウェブサイトへの掲載が求められている事項で、明細書の発行状況、予約料を取る場合の内容、算定している加算の掲示事項などがあります。3つ目は、自由診療を行う場合の治療内容・費用・リスクと副作用です。

ホームページは平成30年6月から医療広告の規制の対象で、載せられる事項と書き方には決まりがあります。一方で、令和6年度以降の診療報酬の改定では、院内掲示の事項をウェブサイトにも載せることが求められるようになりました。「載せてはいけないこと」と「載せなければならないこと」の両方を押さえる必要があります。

この記事では、医療法、医療広告等ガイドライン(令和8年3月30日最終改正)、令和8年度診療報酬改定の通知にもとづいて、何をどう書くかを整理します。書けない表現の全体像は医療広告ガイドラインの要点で扱っています。


1. 3つの層の全体像

主な内容根拠
基本情報名称、所在地、電話番号、管理者の氏名、診療科名、診療日・診療時間、予約診療の有無、設備、医師の略歴医療法第6条の5第3項(広告できる事項)
保険診療のルールによる掲載明細書の発行状況、予約料(取る場合)、算定している加算の掲示事項明細書の通知(保発0305第18号)、予約料の留意事項通知(保医発0327第6号)、各加算の施設基準
自由診療の情報治療の内容、標準的な費用・期間・回数、主なリスク・副作用、問い合わせ先医療法施行規則第1条の9の2(限定解除)

どの層でも、虚偽・比較優良・誇大な表現や、患者の体験談は載せられません(医療法第6条の5、同法施行規則第1条の9)。


2. 第1層:来院に必要な基本情報

医療法第6条の5第3項は、広告できる事項を定めています。ホームページの基本情報は、この範囲で書きます。

項目該当する号書き方の注意
名称、電話番号、所在地、管理者の氏名第3号開設届の名称と一致させる
診療科名第2号医療法第6条の6と施行令の範囲で書く(下記)
診療日・診療時間、予約診療の有無第4号受付の終了時刻も書く。休診日の変更は同じ日に更新する
保険医療機関などの指定第5号生活保護法の指定医療機関なども書ける
施設・設備・従業者第8号駐車場、バリアフリー、医療機器、職員数
医師などの略歴第9号下記
管理・運営第10号予約の方法、支払方法
連携する医療機関第11号紹介先の病院など
提供する医療の内容第13号検査・治療の方法(告示で定める範囲)

診療科名の書き方

診療科名は、医療法第6条の6と医療法施行令第3条の2で定められたものに限られます。ガイドラインによると、「内科」「外科」は単独で名乗れるほか、身体や臓器の名称、患者の年齢・性別などの特性、診療方法の名称、症状・疾患の名称と組み合わせることができます(例:消化器内科、小児外科)。小児科、皮膚科、眼科、耳鼻いんこう科などは単独で名乗れます。

注意する点は次のとおりです。

  • 主たる診療科名は、医師1人につき原則2つ以内が望ましいとされています
  • 不合理な組み合わせ(「内科」と「整形」など)は、医療法施行規則で禁止されています
  • 平成20年の改正で名乗れなくなった「神経科」「呼吸器科」「消化器科」「胃腸科」「循環器科」などは、看板などを変えない限り引き続き使えるとされていますが、ホームページを新しく作る機会には、現在の名称の体系で書くかどうかを検討します
  • 「○○専門外来」は広告できる事項に含まれていません

医師の紹介

医師紹介には、氏名・年齢・性別・役職・略歴を書けます。略歴として想定されているのは、生年月日、出身校、学位、免許の取得日、勤務した医療機関(診療科と期間を含む)などです。

専門医の資格は略歴には含まれず、告示の範囲でだけ書けます。日本専門医機構が認定した基本領域の専門医(内科、小児科、皮膚科、精神科、外科、整形外科、産婦人科、眼科、耳鼻咽喉科、泌尿器科、脳神経外科、放射線科、麻酔科、病理、臨床検査、救急科、形成外科、リハビリテーション科、総合診療の19領域)と、令和3年10月1日の告示改正より前に届け出た団体の資格が対象です。書くときは「日本専門医機構認定○○専門医」のように認定した団体名を付けます。非常勤の医師は、非常勤であることや勤務日を明記します。

医療機能情報提供制度との関係

診療所の管理者は、医療法第6条の3にもとづき、診療科目や診療日時などを都道府県知事に報告する義務があります。報告は1年に1回以上、都道府県知事の定める日まで(厚生労働省の案内では原則として毎年1月1日から3月31日の間で都道府県が設定)で、報告された内容は全国統一の「医療情報ネット(ナビイ)」で公表されます。名称・管理者・所在地・診療科目・診療日時などが変わったときは、その都度報告します。ホームページ、医療情報ネット、Googleマップの内容が食い違わないよう、変更のときは3つを同時に直すことをおすすめします。Googleマップの整え方はクリニックのGoogleマップの整え方で扱っています。


3. 第2層:保険診療のルールで掲載が求められる事項

明細書の発行状況

「医療費の内容の分かる領収証及び個別の診療報酬の算定項目の分かる明細書の交付について」(令和8年3月5日 保発0305第18号)は、明細書の発行状況に関する院内掲示の事項を、原則としてウェブサイトにも掲載するとしています。自ら管理するホームページが無い場合は除かれます。令和6年度改定の同じ通知では、この掲載に令和7年5月31日までの経過措置がありましたが、令和8年度版にはこの経過措置の記載はありません。

明細書は原則として無償で交付します。レセプトコンピュータに発行機能が無いなどの「正当な理由」がある診療所は、その旨を院内に掲示し、地方厚生局に届け出る必要があります。通知では、この「正当な理由」は令和10年以降の標準型レセプトコンピュータの提供の時期をめどに廃止する予定とされています。

予約料を取る場合

予約に基づく診察について特別の料金(予約料)を取る場合は、「療担規則及び薬担規則並びに療担基準に基づき厚生労働大臣が定める掲示事項等」及び「保険外併用療養費に係る厚生労働大臣が定める医薬品等」の実施上の留意事項(令和8年3月27日 保医発0327第6号で改正、令和8年6月1日適用)に従います。院内掲示と受付での説明に加え、ウェブサイトへの掲載も原則として必要です(自ら管理するホームページが無い場合を除く)。同じ通知では、予約時間から30分程度以上待たせた場合は予約料を取れないこと、料金を決めたり変えたりしたときは地方厚生(支)局長に報告することなども定められています。

算定している加算の掲示事項

令和8年度診療報酬改定では、ウェブサイトへの掲載を要件に含む加算があります。たとえば新設された電子的診療情報連携体制整備加算(医療DX推進体制整備加算と医療情報取得加算は廃止)は、明細書の発行や医療DXの体制について、院内の見やすい場所とウェブサイトに掲載することが要件の一つです。このほか、機能強化加算や情報通信機器を用いた診療(オンライン診療)の施設基準にも、掲示や掲載に関わる要件があります。

算定している加算ごとに、施設基準の通知で掲示・掲載の要否を確かめ、ホームページの「院内掲示事項」のページにまとめておくと、漏れを防げます。厚生労働省は令和8年度改定について医科診療所向けのチェックリストも公表しています。


4. 第3層:自由診療の情報(限定解除)

ホームページで自由診療の内容や費用を載せるときは、医療法施行規則第1条の9の2の要件をすべて満たす必要があります。

要件内容ガイドライン・Q&Aの補足
患者が自分から求めて手に入れる情報を表示するウェブサイトであることバナー広告や検索連動型の広告は満たさない
問い合わせ先をはっきり示すこと「予約専用」とだけ書いた番号や、自動音声だけで折り返しのない番号は満たさない
通常必要とされる治療の内容・費用などを示すこと標準的な費用・治療期間・回数。費用がはっきりしない場合は最低額から最高額(よく発生する追加費用を含む)までの幅
主なリスク・副作用などを示すことデメリットを簡単に並べただけでは満たさない

③と④は、説明をリンク先に回したり、極端に小さい文字や背景と同じ系統の色で書いたりすると、満たしたことになりません。未承認の医薬品などを使う場合は、未承認であること、入手経路、国内の承認品の有無、海外での安全性の情報、公的な救済制度の対象にならないことも書く必要があります。

限定解除は「広告できる事項の限定」を外すものです。体験談、比較優良、誇大な表現の禁止は外れません。


5. ページ構成の例

ページ載せる内容
トップ名称、診療科、診療時間表、休診日、電話番号、所在地、お知らせ(休診の変更)
初めての方へ受付の流れ、持ち物(マイナ保険証・資格確認書など)、予約の方法、支払方法
診療案内診療科ごとの対象となる症状・検査・治療(告示の範囲で)
医師紹介氏名、略歴、告示の範囲の専門医(団体名付き)
院内設備設備、バリアフリー、駐車場
アクセス地図、最寄り駅、駐車場の台数
院内掲示事項明細書の発行状況、算定している加算の掲示事項、予約料(取る場合)
自由診療治療内容・費用・期間・回数・リスクと副作用・問い合わせ先

6. 公開前のチェックリスト

  • 名称・所在地・電話番号・診療時間が、開設の届出、医療情報ネット、Googleマップと一致している
  • 診療科名が医療法施行令の範囲で、不合理な組み合わせがない
  • 「○○専門外来」「地域No.1」「痛くない」などの表現がない
  • 医師紹介の専門医に、認定した団体名が付いている
  • 患者の体験談、口コミの転載、治療前後の写真(説明のないもの)がない
  • 明細書の発行状況の掲示内容が、ウェブサイトにも載っている
  • 算定している加算のうち、掲示・掲載が要件のものの内容が載っている
  • 予約料を取る場合は、その内容が載っている
  • 自由診療のページに、標準的な費用・期間・回数、主なリスク・副作用、問い合わせ先がある
  • 休診や診療時間の変更を、誰がいつ更新するかが決まっている

7. 落とし穴

  • 改定のたびの掲示事項の更新を忘れる:加算の新設や廃止があると、院内掲示とウェブサイトの両方を直す必要があります。令和8年度改定では医療DX推進体制整備加算が廃止され、電子的診療情報連携体制整備加算が新設されました。古い加算名の掲示が残っていないか確かめます。
  • 制作会社のひな形をそのまま使う:「○○専門外来」や患者の声のページが、ひな形に入っていることがあります。広告の責任は掲載する医療機関にあります。
  • 自由診療の料金を「○円〜」だけで書く:標準的な費用が示されていないと、限定解除の要件を満たしません。
  • 更新の担当が決まっていない:休診の告知や診療時間の変更が遅れると、患者が来院してから気づくことになります。
  • 医療情報ネットの報告を忘れる:変更があったときは随時の報告が必要です。ホームページだけ直して終わりにしないようにします。

8. まとめ

  • ホームページの情報は、基本情報・保険診療のルールによる掲載・自由診療の情報の3層で考える
  • 基本情報は医療法第6条の5第3項の範囲で書き、診療科名は施行令の範囲に合わせる
  • 明細書の発行状況、予約料、ウェブサイトへの掲載を要件に含む加算の掲示事項は、原則としてウェブサイトにも載せる
  • 自由診療は限定解除の4要件(問い合わせ先、内容・費用、リスク・副作用など)を満たして載せる
  • 変更のときは、ホームページ・医療情報ネット・Googleマップを同時に直す

算定している加算の掲示・掲載の要件は、地方厚生局の公表している施設基準の通知で確認してください。


参考資料